会長&スタッフブログ

2014.12.31

腕白の超大国(アメリカ日系企業視察の旅) 2

 

さて、皆様お久しぶりです。

あれから消えてしまったレポートを散々探したのですが、やはり見つかりませんでした。
同じことを2度繰り返すというのは、思っている以上にメンタルが疲弊しますね。
データを持ち運びしている間にほとんど書いていないドキュメントのほうを上書きしてしまったのが原因です。
あの後、すぐにドロップボックスをダウンロードしたのは言うまでもありません。笑

今回はアメリカ日系企業視察レポート後編です。

●自動車とバイク
アメリカの年間自動車販売台数は約1,600万台(トラックやバス含。以下同)です。(本データは全てマークラインズより)
日本が500万台そこそこですから、規模としては日本の3倍になります。
ただ、意外なことにアメリカ国内の自動車「生産」台数をみますと約1,100万台であり、これは日本の950万台とほとんど差がありません。
気になるアメリカでの乗用車メーカー(ブランド)のシェアは以下のとおり。
1位 GM・・・・・・17%
2位 フォード・・・・16%
3位 トヨタ・・・・・14%
4位 クライスラー・・12%
5位 ホンダ・・・・・10%
北米と中東ではとにかく強いトヨタ。さすがです。

他の気になるメーカーを見てみましょう。
日産8.1%、スバル2.7%、マツダ1.8%、ヒュンダイ4.7%、フォルクスワーゲン2.7%、メルセデスとBMWはそれぞれ2.0%・・といった感じです。
アメリカにおけるメーカー国籍別シェアは大まかに見ますと
米国系メーカー 45.7%
日系メーカー  37.4%
欧州系メーカー 8.8%
と、欧州系が意外なほど少なめです。
逆に米国系メーカーが50%を切っていることには正直驚きました。

アメリカではピックアップトラックが大人気です。
先進国でもここまでピックアップトラックが市民権を得ているのはアメリカだけではないでしょうか。(タイもピックアップは多かったですが)
なぜにそこまでアメリカ人はピックアップ車が好きなんでしょうか。
これにはいろんな見方があります。
労働者層は己の職業を誇りたいがゆえにマッスルなピックアップ車を好む傾向にあると言われています。
またアウトドアが日本以上に浸透しているアメリカにおいてはピックアップ車というツールは非常に実用的です。
実際にハントした鹿を荷台に積んだまま出勤してくる猛者もいるそうです。
でも理由をあれこれ並べる以前に、やはり感覚的というか、五感で「カッコイイ!」と反応してしまうのが本音ではないでしょうか。
だからお金がない若者が相当無理してピックアックを買うということはアメリカでは珍しくないとのことです。
ピックアップ車人気の要因がどうであれ、「文化」として根付いている以上、これからもアメリカにおいてはピックアップ車の人気は続くと思います。
ここで、アメリカを駆るピックアップ車あれこれをご紹介。
各社フラグシップのいわゆる【フルサイズピックアップ】を見ていきましょう。


GMC・シエラ

シボレー・シルバラード(シエラの姉妹車種)


フォード・F

 
 
そしてトヨタ・タンドラ
タンドラは他のフルサイズより若干控えめな大きさです。
なぜだかお分かりになりますか?
他の米系メーカーのものよりデカく作ってしまうと、「あのトヨタが一番デカいピックアップを出してきたぞ!」と全米でバカ売れすることが確実だからです。
そうなると、いつぞやの政治家を巻き込んでの大バッシングと発展してしまう危険性があります。
アメリカの国で商売をしていくには変にアメリカを刺激してはいけないことをトヨタは知っています。
粛々と二番手を「維持」するトヨタの政治的な配慮が見え隠れするのもこのピックアップ車の特徴かもしれません。
日本ではまず見ないカテゴリーですので、デカさ以外にも、エンジン音や豪華なエクステリアなどインパクトがハンパないです。
なんとこのトヨタ・タンドラ、姫路でも2、3台見かけますので・・気になる方はオーナーさんに話しかけてみてはどうでしょうか。

こちらはタンドラよりワンサイズ下の【タコマ】というピックアップ車です。
ワンサイズ下といっても日本で見たら相当デカい車です。(幅だけですとレクサスLSとほぼ一緒です。)
車体の下に潜り込みましたら・・ありました。

当社の割りピンです。笑

ついでにスポーツカータイプですが、アメリカでよく見たのはフォードマスタング。
そしてライバルのシボレーカマロ。(スミマセン・・写真ないです笑)

この2台は本当によく見ました。
乗っているのは若者より、4,50代のナウいオッチャンのほうが圧倒的に多かったです。
日本でいえばフェアレディZ、スカイラインと同じような位置づけでしょうか。
歴代新型モデル発売の際に必ず乗り継いできてる熱狂的なファンもいます。
日本版ではMT設定がないのと、価格が鬼のような設定なので、日本市場ではあまり支持されず街で見ることは稀です。
スタイリングは最高にカッコイイんだけどな~。



さて、アメリカの自動車ディーラーはとても規模がデッカいです。
それは土地が広いという理由ももちろんあるのですが、何せ在庫車両の台数がすさまじく多いです。
日本の自動車ディーラーだと展示車両はせいぜい数台程度。
なぜにアメリカの自動車ディーラーではそこまで車を大量に並べているのでしょうか。
これはアメリカならではの大雑把な販売方法に理由があるためです。
日本で新車を買う場合、車種のグレードを選択した後、ナビを付けたり、ホイールを変えたりと、自分の好みのオプションを追加していき、納車までしばしお待ちを~という流れが一般的です。
アメリカの場合は、基本的にお店に足を運んで現物を目の前にして「コレをくれ」という買い方が一般的です。
なので、大まかなグレードやオプション設定をあらかじめディーラー側が決めており、とりあえずだいたいの需要を見込んで全部の種類を作るのです。
ユーザーはお店に並んだ希望の「パターン」を探して購入するという流れです。
日本とは真逆です。
これは例えばプラント導入が絡む工場設計の場合も同じで、日本とはまったく逆です。
まず工場のレイアウトを考えてからそれに合ったプラントを業者に設計してもらうのが日本の一般的な工場ですが、アメリカの場合は大型プラントであっても元々の大きさや仕様がほぼ決まっており、それに合わせて工場を作っていくというのが一般的です。
「顧客目線」と「企業目線」の差でしょうか。
細かな配慮が利く日本の企業とは対照的なのは、こういった文化からの流れなんだと感じた次第です。

ちなみに今回移動に使用したバスは【フレイトライナー】というメーカーのバスでした。
このフレイトライナーですが、アメリカのトラック市場ではシェアナンバー1のメーカーなんですが日本ではまったく走っていないので正直、我々日本人には全然馴染みがないです。
でもこの視察の移動中、「うーん、このエンブレム懐かしいな~。どっかで見たことあるような・・」と、どうもはじめて見る気がしないのでデジャブかなんか・・色々考えていましたら中学生の時に読んでいた【ザ・ハード】(猿渡哲也著)という漫画の中で主人公が乗っていたトラックがこれだったということに気がつきました。(ちなみに舞台はニューヨーク)

当時、トラックといえば日野しか知らなかったので、「この漫画、変なトラックの会社出してきたな~」と、バカなことを思っていたな、と今になって気づいた次第です。

バイクに関してはやはり本場、ハーレーダビッドソンが圧倒的に多いです。
しかし、日本人がよく勘違いしている・・というか幻想を抱いている【カスタムハーレー】ですが、アメリカでは見ることは実は稀です。

長距離の移動手段と割り切っている人が多いので、わざわざ乗りにくい改造をするなんてことはしません。
実際に滞在中、アメリカで見たハーレーダビッドソンはどれもこれもドノーマル車両で、マフラーすら替えていない車両が大半でした。
西海岸とかに行けばまたそれで事情は違ってくるのかもしれませんが・・。

 



ハーレー以外はやはり日本車がかなりのシェアを占めています。

ストリートタイプは伊ドゥカティも負けてはいません。
走っているバイクを見ますとハーレーのような【クルーザータイプ】と、尖がったタイプの【スーパースポーツタイプ】、アメリカで主流のバイクはだいたいこの2タイプなのかなという印象です。
日本ではスタンダードな【ネイキッドタイプ】、BMWが得意とするようないわゆる【デュアルパーパスタイプ】、【オフロードタイプ】(モタード含)・・これらのタイプはアメリカではかなり少数派なのかもしれません。

ウォルマートで見たカフェレーサーバイク。
(カムカバーの形からおそらくスズキGS750かと)

ヤマハ ビラーゴ250。
都会ではこれくらいのサイズがちょうどいいかもしれません。

なんと!ホンダ ズーマーが(笑)
一瞬で過ぎ去っていったので写真は撮り損ねたのですが、ブルックリンブリッヂの上で見た爆音マフラーのヤマハBOLTがとても印象的でした。


●アメリカの労働事情
アメリカの一人当たりのGDPは約49,800ドルです。
アメリカと日本との労働事情の違いをあげて見ますと、定年が無い・基本的には日給月給のシステム・ボーナスや退職金は少ない、という点でしょうか。
悲しい言い方にはなりますが、アメリカでは企業と労働者の間には基本的に信頼関係は皆無です。
会社はほぼ一方的に労働者を解雇することができますし、労働者は職場環境や仕事内容に少しでも不満があれば明日にでも仕事を辞めます。
実際、今回訪問させていただいた企業様の中にも
「本来は、現場責任者の者が工場を案内する予定でしたが、2週間前に辞めてしまったために、今日は私が案内します」
とか、
「はい。こちらがわが社の組織図です。実は工場長とマネージャーがここ数日の間に辞めてしまったので、ここの欄は写真を削除して空白にしました」
などという、日本ではにわかに信じられない言葉も実際に聞きました。
アメリカ人の仕事に対する考え方は単純です。
気に入らなければすぐに辞めるし、隣の店が今の店より給料が高いとなるとすぐにでも転職します。
これは大企業であっても考え方の根本は変わらないので、【組織力】という点では非常にモロいです。
現場レベルの話をしますと、例えば「現場改善を進めて不良発生率を低減しよう」などという発想は生まれるわけもありません。

言われたことは最低限やる・決められたルールを最低限守るということはできますが、それ以上のことを期待してはいけないということです。
現場の人間は営業・販売にはまったく興味がありませんし、その逆もまたしかり。
本当にドライな印象です。
アメリカのビジネスが何でもかんでも「契約」で決めているのはそういう理由があるからです。
ちなみに給与の支払いは月に2回~4回というのがアメリカでは一般的だそうです。
なんでも、給料が入るとすぐに使ってしまうのだとか・・。


さて、この度、日産自動車様(スマーナ工場)へ訪問させていただいた際に、質問した内容はこちらです。
【現地のアメリカ人はNISSANというブランドをどのようにみているのか】。

「どのように」とは外資系メーカーの自動車を自分たちの国で作った場合、その車は「外車」に見えるのか、それとも「アメ車」に見えるのかという素朴な疑問です。
この質問をした理由は単純です。
日本は世界でもトップレベルの自動車生産大国ですが、日本国外の外資系メーカーがまったく自動車生産をしていないという、世界的にみてもかなり特殊な国です。
戦前に施行された「自動車製造事業法」が大きく影響したのかもしれませんし、単純に「ケイレツ」が絡む独特な商習慣が原因なのかもしれません。
とにかく日本では外資のメーカーが日本の土地で自動車を製造していませんので、「日本車」と「外車」という明確な区分があります。
左ハンドル車をやたらと特別視するのもそのためでしょう。
諸外国では外資系メーカーがその土地で自動車を製造することは特別なことではありませんので、そもそも「国産車」や「外車」といった概念が薄いと聞きます。
そんなわけで、「自分たちが作る外車」という感覚がどんなものなのかということを訊いてみたかったというわけです。

→答え
「私たちからすればNISSANは日本のメーカーだという感覚はあまりありません。日本のメーカー・アメリカのメーカーという概念ではなく、【自分たちのメーカー】という意識のほうが強いです。」
との回答でした。
ご回答いただいたのはスマーナ工場の中間管理職で40代の女性2名でした。
なるほど、なかなか興味深い内容です。

おまけで「トヨタに対しても同じ感覚なのか」と訊きましたら
「TOYOTAは・・自分たちが関わっていないので客観的な視点から日本のメーカーだという認識の方が強いです」
とのことです。
しかし、彼女たちの「NISSANを語るときの眼」と言いますか、非常に輝いていたのが印象的でした。
外資メーカーであろうとなかろうと、「自分たちが作っているんだ」という誇りはものすごく伝わってきました。

さて、アメリカ日系企業視察レポートはこれにて終了です。
リーマンショック以降長らく景気が低迷していたアメリカですが、さすがに今となっては過去の話。
ここ最近の雇用統計も好調ですし、アメリカ経済はもはや完全に復活したと言ってもいいでしょう。
シェールガスをはじめとするエネルギー情勢もアメリカにとっては追い風になっていますし、もうしばらくはアメリカの独走態勢が続くと見るべきだと思います。

しかし、それ以降、アメリカの勢いはどうなっていくのでしょうか。
このまま巨大化して世界を飲み込んでいくのか、はたまた新興勢力の台頭で現代の冷戦に発展することもないとは言い切れません。
日本の立場としては、何でもかんでも言いなりになる現状の関係ではなく、時にはアメリカの独善主義を勇めることの出来る「対等な関係」を築いていくべきであると考えます。
さて、来年の春はフィリピンに行く予定になっております。
またレポートを書きますので見てくださいね。
今年ももうすぐ終わりです。
今年は例年以上に早く時間が過ぎた1年だったと思う次第です。
皆様にはとてもお世話になりました。
2015年もどうか旭ノ本金属工業所をよろしくお願いします。
皆様にとってよい年になりますように。合掌!

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